フリースクール設立支援

『寺子屋ありがとう』 フリースクール設立支援事業について

・多様な教育機関確保法(仮)案

昨年末、「多様な教育機関確保法(仮)案」が通りました。
そのせいか、昨年はフリースクール設立支援の依頼や相談が随分増えました。
本制度施行後の市場拡大や助成金の交付などを目当てに、フリースクール部門設立や新規にフリースクールを立ち上げようという動きです。
少子化が進み経営が難しいとされている学習塾業界。
久しぶりのよいニュースと受け止めるむきも少なくないようです。


・助成金事業の実態

数年前、若者自立支援の助成金が予算で組まれました。
巨額の助成金が投じられ、就労困難な若者の就労訓練の場が新潟市内で数多く設立されました。
飲食店をはじめとする民間の各種施設です。
マスコミにも取り上げられ華々しいオープンでした。

数年後、それら就労支援の場であった施設はその殆どが、助成金打ち切りと同時に閉鎖しました。
閉鎖前に訓練中の若者批判の言動を繰り返す施設もあり、私は違和感を禁じえませんでした。

そのような状況の中、なん件かの施設からそこの若者や施設そのものを、『寺子屋ありがとう』で引き継いで欲しいと依頼を受けました。
要は助成金を使い果たした後で丸投げです。
ずさんな運営と依存的な態度に憤りを感じました。
「これが自立支援ですか?まずはご自身が自立すべきでは?」
そう伝えさせていただきました。
今でもそう思っています。
ニートや引きこもり。
少なくても彼らは自身の人生をかけ、苦しさの中動けない状態を生きている。
そんな若者を馬鹿にするなという憤りです。

そんないい加減な大人がいると、結局苦労するのは関わってしまった若者達です。
それら組織は 助成金を受けるくらいですから、それなりに社会的に認知された組織です。
権威のようなものを感じるのか、苦しんでいる人達は安易に信じてしまうのかも知れません。

もちろんそのような団体だけではありません。
当時設立された施設のうち、現在もしっかり活動し機能しているところもあります。
就労期の方には、そのような団体を私は自信を持って勧めています。


・当法案の意味

話は戻って、今回の法案を簡単に説明すると
義務教育課程のお子さんの保護者が学習計画を市町村の教育委員会提出。
それが認められると学校に通わなくても出席扱いになる。
というものです。

実際はそのような計画を立てられる保護者は少なく、
多くの場合、学習塾等が計画立案しそこで学習することになるでしょう。
それでいくつかの学習塾は市場拡大と喜んでいるわけです。
相談を受ける中で、この制度に付随する助成金もあてにしているところもありました。

実はこの法案、意味のないことなのです。
現在も学校長の判断一つで、家庭やフリースクールなどで、定期テストを受けたり、授業を受けた場合出席扱いにしてもらえます。

ただ、私どもにこの制度を認めて下さった校長先生はごく僅かです。
ほとんどが、『寺子屋ありがとう』でなにをやっているか、確認もせず拒否されることがほとんどでした。

要は、国が法案など改めて作らなくても、
校長がこの制度があることを知っていること。
生徒のことを思い、学習できる環境であるか確認すること。
一定の基準を満たしたら学外の施設でも試験会場と認めたり、出席扱いとする。
それだけですんだはずです。
学校長にその気持ちと姿勢さえあれば、現行のままで十分対応できました。
この制度がしっかり機能していたら、今までどれだけ多くの子ども達が救われたことでしょう。


・フリースクール側の問題

とは言え、フリースクール側にも問題はあります。
生徒を一日中遊ばせておくだけ。
フリースクール卒業後にどうなるのか、なにを目指すのか、そのヴィジョンを明確に示せない。
そのような状態で生徒を囲い込み、放置している自称フリースクールも少なからずあります。

講演にうかがった先のフリースクールの職員から、
「今日は朝からずっとドッジボールをしていました、この子達はこれからどうなるのでしょう?」
そう尋ねられたことがありました。
ですから一部の校長から信用されないことは、フリースクール側にも責任と問題があります。


・当法案の問題点

今回の法案は生徒に対し登校を強いることなく、一定の基準の下出席扱いの可否を決められる。
そんな良い面もあります。
ただ、私が今もっとも危惧していることは、現在私が受けているフリースクール設立の問い合わせ内容から、フリースクールに参入しようとする既存の学習塾の中には、非常に安易に考えていると感じるものが少なくないことです。

先ほど書いた若者自立支援制度の時のように、市場拡大や助成金目当てで参入して、税金を無駄遣いした挙句、助成金がストップした時点で途中で投げ出す。
苦しんでいた若者とそのご家族をさらに追い打ちをかけるかのように苦しめる。
そうなることが心配です。
その場合は本業の学習塾にも打撃を与えるでしょう。

今回の法案が取り沙汰されるずい分前から、学習塾経営者の方を中心にフリースクールの部門設置や新規の立ち上げについて相談を受け、手伝わせていただいてきました。
いずれも、
「通っていた生徒が不登校になりどう対応したらいいのか苦慮している」
「不登校のお子さんを受け入れて欲しいと言われ、なんとかしたいと思う」
そんな苦しんでいるお子さんたちに対する思いを感じる方ばかりでした。

そんな教室に通えた生徒は、例外なく前に進めています。
不登校による大きな問題の一つ、学習の遅れに対して学習塾は最もスキルを持っている場所と言えるでしょう。
そこに不登校の生徒保護者に寄り添える気持ちがあれば、フリースクールなどと名乗らずとも、多くの不登校生徒の支えになれます。


・フリースクール設立支援

以前から私は、
そのような教室の応援をさせていただきたい
そんな気持ちでいました。
今までは告知などをしていなかったため、知人や紹介で繋がった教室のみを対象としていましたが、このたび広くご依頼をお受けすることにいたしました。

子どもたちや彼らを取り巻く大人が少しでも救われるなら。
現時点では市場拡大や助成金など目当てでも構いません。
その状態のまま参入しては、本業の学習塾にもダメージを受けるでしょう。
それでもフリースクール部門設立を考えられるなら、一度ご連絡をいただけたらと思います。
既存の学習塾でのフリースクール部門だけでなく、新たにフリースクール立ち上げを考えている団体個人の方でも構いません。

電話や来訪を受けての相談は無料でお受けします。
その後のサポートなどの詳細についてはお問い合わせ下さい。

話し合いの上双方納得できましたら、
私が教室設立から10年間で得たことは全てお伝えします。
私自身、知っていたらしなくて済んだ失敗をや回り道数多くありました。
同じようなことで苦しむ方が少なくなるようにと思います。
ご興味ありましたら遠慮無くお尋ねください。


・最後に

「多様な教育機会確保法(仮)案」
全国でこの法案に異を唱えるフリースクールは『寺子屋ありがとう』だけかと思います。
社会に対し違和感を持ち苦しんでいる生徒達と、学習を通じて関わってきたからこその異見です。

純粋に、苦しんでいる子ども達のためにこの法案を通したいと思っている方も少なくないでしょう。
そうお考えの方は、現状多くのフリースクールや民間の単位制高校がどのような状況かご存じないのではないかと思います。
もちろん全てではありませんが、生徒を囲い込み放置している場も少なくありません。
その後そのお子さんはどうなるのでしょう。

この法案が通ればそのような状況が増えます。
立ち上がる機会と力を奪われる子ども達が増える。
そう危惧するからこその同法案に対する違和感です。

法案の可決否決に影響を及ぼすことは無理であっても、苦しんでいる子どもたちのためにと本気で思っている方のお力になれたらと思います。
どうぞ遠慮なくご連絡ください。

文責 『寺子屋ありがとう』主宰 岸本達也


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